cucin amica

アニーが教えてくれたこと。

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9月。残暑の厳しい今年の夏。
ほんの数日間の秋めいた朝に、
姉が待望の第一子を出産した。

若くして結婚したものの、働くことが好きで、
まるで独身のような気楽な毎日を送っていた私たち姉妹。
両親、姉夫婦、私たち夫婦の6人で、
それぞれの家に集まったり、食事に出掛けたり・・・・
大人だらけの生活はとても快適だった。

そんな我が家で、末っ子のアニー(犬)は、
まるで子供の様に可愛がられ、
その存在が私たちの中で13年間、いつまでも子供だった。
見ているだけで、優しい気持ちになり、
そのしぐさひとつひとつが、幼いものを表していたように思う。

そしてアニーが天国に逝った日。
「家族が減っていくのは、さみしいな・・・」と心底思った。
可もなく不可も無かった人生に、
初めて失うことの喪失感を持った。
そしてそれは同じように、姉の中にもあったのかもしれない。

アニーの居ない初めてのお正月。
その日は丁度、四十九日だった。
実家に向かう前に姉夫婦が我が家で合流し、
私はキッチンで実家に持って行く料理を詰めていた。
「赤ちゃんが出来たよ」
聞き取れないほどの小さな声だったように思う。
嬉しかった。
「喜びに震える」そんな言葉がぴったりだった。

「子供を産む」それは私たち姉妹にとって、
なんだかとても遠くにある言葉だった。
周りの子持ちの人が言う「子供っていいよ~」
「子供を育てないと一人前じゃないっ」
そんな価値観の持ち主がとても苦手だった。
そしてそんな心無い言葉より、
アニーの死そのものの方が、ずっと説得力があったのだ。



「アニーは居ないし。お父さんはしょぼくれちゃったしね。」と、姉は言った。
私は嬉しかった。
姉が私と同じ気持ちを持っていたこと。
姉が母親になること。
家族が増えることが、とても。
アニーは教えてくれたのだ。
好きなことばかりを優先し、
いつの間にか高齢出産になってしまうお気楽な私たちに、
子を授かり、育て、家族の増える喜びを。

私は新しい家族を抱き、実家の窓辺に座る。
ここはアニーのお気に入りの場所だ。
アニーの好きだったここからの景色を、
小さな小さな家族と眺める。



私は、私を「叔母さん」にしてくれた姉に、
とても感謝している。
そして、こんな素晴らしいことを教えてくれたアニーに、
とてもとても感謝している。










 

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